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イベントレポート「K-NIC Finance Day for Startup 初めてでもわかる 補助金の申請の仕方」

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国や自治体の政策目標に合わせて様々な分野でも募集されており、
事業者の取り組みをサポートするために給付される補助金。

しかし世の中にはたくさんの補助金があり、自分の事業に見合った補助金を探すのにも非常に時間がかかります。
そんな補助金について専門家の川崎朋子氏に、事業成長に必要な補助金を獲得する方法を教えていただきました。

こんな方におすすめ!
・起業においてどんな補助金があるか?知りたい方
・どんな補助金があるか理解を深めたい方

登壇者プロフィール:
川崎 朋子 K-NIC サポーター

公式HP:https://kawasakitomoko.com/ 
大学卒業後、外資系製薬会社にて医療用医薬品の営業に従事。育児短時間勤務制度を利用し1日5時間の営業時間でトップ営業成績を残す。最優秀営業所賞受賞他実績多数。経営革新等支援機関の認定、外部承継診断士の認定を受けている。

目次

1.補助金・助成金とは
 (1)補助金とは
 (2)補助金・助成金の違い
 (3)補助金や助成金はどんなことに対して出るものなのか
2.スタートアップ企業にニーズの高い補助金とは
3.基本的な申請の流れと注意
4.補助金・助成金◯×クイズ
5.参考
 (1)補助金の検索の仕方
 (2)知っていると便利な補助金用語
 (3)小規模事業者持続化補助金ホームページURL 

1.補助金・助成金とは

(1)補助金とは

補助金がどういうものかご存知かと思いますが、
改めて定義を確認したいと思います。中小企業向け補助金・総合支援を行う、
経済産業省と中小企業庁運営の「ミラサポplus」が公式ホームページで補助金の定義をまとめています。

補助金とは…
“国や自治体の政策目標(目指す姿)に合わせて、さまざまな分野で募集されており、
事業者の取り組みをサポートするために資金の一部を給付するというものです。
それぞれの補助金の「目的・趣旨」を確認し、自分の事業をマッチする補助金を見つけましょう”

補助金はどんな事業に対しても出るものではなく、国や自治体の政策目標に合う事業に対して出るものです。
例えば国から出ている補助金であれば国の政策目標を達成するために、
もしくは市町村から出ていればその市の政策目標を達成するために、いろんな分野で公募されています。

基本的には希望する額の全額ではなく一部が出ます。
補助対象経費といって、補助金でカバーできる範囲が決まっています。
それ以外は自社で支払うことになりますのでご注意ください。

今国から出ている三大補助金と呼ばれる、よく皆様が活用されるものを図1に挙げさせていただきました。
(図1)三大補助金

まず、一番左の「持続化補助金」、正式名称は「小規模事業者持続化補助金」です。
これは小規模事業者が作成した経営計画に基づいて行う販路開拓の取り組みをサポートするための補助金です。
「IT導入補助金」は日々の業務の効率化や自動化のためのITツールの導入をサポートするための補助金です。
3つ目の「もの作り補助金」は、もの作りやサービスの新事業を創出するために必要な設備、試作品の開発などをサポートするための補助金です。

補助金によって目的や対象が異なるので、申請時には確認が必要です。

(2)補助金・助成金の違い

“補助金”という言葉と同じくらいよく“助成金”という言葉を聞きますが、皆さんはこの“補助金”と“助成金”の違いについてご存知でしょうか。
(図2)補助金と助成金の違い

この2つの言葉はよくごちゃ混ぜで使われることが多いのですが、実ははっきりとした違いがあります。

助成金は…
・要件を満たせば原則誰でも受け取れます。
・厚生労働省から出ています。

対して、
補助金は…
・申請をしても審査に通過しなければもらえません。
・経済産業省や中小企業庁から出ています。

補助金審査の合格率はその補助金により異なります。
後ほど触れますが、補助金によって3割ぐらいから5割ぐらい、また募集回によって7割が通過したときもあります。
この定義はあくまでも一般的な認識であり、例外もありますのでご注意ください。
補助金という意味で助成金という名称の場合や、助成金という意味で補助金という名称の場合もあります。
また、支援金という名称を使う場合もあります。

(3)補助金や助成金はどんなことに対して出るものなのか

(図3)補助金・助成金の対象

図3は施策マップです。このように広い範囲で公募を行なっています。
後ほど触れますが、年中いつでも申請できるものではないのでご注意ください。
どの補助金にも公募期間があります。また2・3ヶ月に一回公募がかかるものや、年に一回のもの、また今回の一度だけというものなど補助金により様々です。

2.スタートアップ企業にニーズの高い補助金とは

小規模事業者持続化補助金を考えるとよいでしょう。

小規模事業者の経営計画に基づいて実施する販路開拓等の取り組みを支援することを目的とした補助金です。
これはかなりの小規模事業者が対象になる補助金です。
以前、国から「創業補助金」という創業者に一律300万円の補助が出る補助金がありましたが、3年前に無くなり、
小規模事業者持続化補助金に吸収されました。
新規の開業に向けた販路開拓の取り組み(例:ホームページ・チラシ・看板作成など)に関して申請が可能です。

小規模事業者持続化補助金の公式ホームページには公募要領や公募期間、対象企業(小規模事業者の定義や業種)など詳しく載っていますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
小規模事業者持続化補助金ホームページ:https://r1.jizokukahojokin.info/

3.基本的な申請の流れと注意

では補助金申請はどのような流れで進めていくのでしょうか。
(図4)基本的な申請の流れ

図4の上の段を合否が決まるまで、下の段を合否が決まった後と考えてください。

上段ですが、補助金に申し込みたい場合には申請書類を作成し、その後書類を送付していただきます。
郵送の場合と電子の場合があるのでご注意ください。その後審査が入り合否が決まります。
採択されたら補助額を決めるための交付決定を行っていただきます。

下段ですが、審査採択後に補助事業(例えばホームページ発注していただいたり、チラシの業者さんに発注していただくこと)を開始します。
そして実績報告書を事務局に提出し、その後審査が入って精算払い、という流れです。
補助金によっては経営者に審査に赴いてもらう場合もあります。
また実績報告書を出していただいた後に、検査員の方が検査に来る場合もあります。
もしくは事業開始後に中間監査が入って、実績報告書を出した後に検査員が来るというパターンもあります。
補助金によって異なりますので必ず公募要領を確認してください。

以前は自社で立替えて後から補助金が振り込まれるという流れでしたが、
最近は経費の1/2や9割まで先に事務局から振り込まれる場合が出てきています。

4.補助金・助成金◯×クイズ

次によく皆さんが間違えやすい問題を3問出させていただきます。

Q1: 申請書は30分もあれば記入完了できる。

答えは×です。申請書は30分で書き終えられません。記入に時間がかる経営計画書が必要となるケースが多いからです。
経営計画の作成に慣れてない方だと何度も練り直しますので、日数は結構取られると考えて頂いた方が良いです。

Q2: きちんと領収書を取っておけば補助金を貰える。

これも×です。補助金をもらうためには見積書や発注書だけでなく振込の記録、経費書類も見られます。
補助金領収書だけ取っておけばもらえるようなものではないので、お気をつけください。

Q3: 補助事業に必要なものが追加で出てきたので購入し、補助金請求した。

×です。申請時に補助金で購入するものを全て洗い出して書いていただく必要があります。
後から変えるのは難しいです。OKな場合もありますが、基本的には難しいというふうに考えていただいた方がいいです。

5.参考

補助金の検索の仕方

補助金は経済産業省と中小企業庁が運営している「ミラサポPlus」のウェブサイトで検索頂くことができます。
「ミラサポPlus」検索ページ

知っていると便利な補助金用語

(図5) 知っていると便利な補助金用語

小規模事業者持続化補助金ホームページURL

https://r1.jizokukahojokin.info/

補助金は返金不要のため大変人気があります。
しかし手続き・書類作成の煩雑さや定められた手順に沿った事業展開を行う必要などの制約があります。
自社の成長・発展に必要かを検討した上での申請を行うことをお勧めします!

以上、イベントレポートでした。この記事が皆様のお役に立つことができれば幸いです!また、ご質問やご要望等あれば、気兼ねなくK-NIC運営事務局へご連絡ください。最後までお読みいただきありがとうございました!

こちらの記事の内容はYoutubeでもご覧いただけます!
Youtube URL:https://www.youtube.com/watch?v=LHVFOLTAn8E